北陸の郷土料理「かぶら寿し」をみなさんご存知でしょうか。塩漬けしたカブ(かぶら)の輪切りに寒ブリの身をはさみ、麹で漬け込み発酵させたもので、石川県を中心に江戸時代から食べられている冬のごちそうです。大根にニシンをはさんだ「大根寿し」も、より庶民的な味として親しまれていますが、お正月や贈答用としても登場するのはやはりかぶら寿しの方でしょうか。今回は金沢の老舗漬物店・四十萬谷本舗さんの「かぶら寿し」をご紹介します。
明治八年創業の四十萬谷本舗さんは、元々味噌や醤油などの発酵食品を手掛けており、その後金沢の家々に伝わる味と技を手本にして、かぶら寿しをはじめとするお漬物を製造・販売するようになったそうです。今回買ってきたのは個包装タイプのかぶら寿し。袋から取り出すと発酵した米麹特有の甘酸っぱい香りが漂います。食べやすいように切り分けてさっそく一口いただくと、まずはカブのシャクシャクとした歯ごたえを楽しめます。そして間に挟まれた脂ののった寒ブリのおいしいこと!生でもおいしい天然の寒ブリを一年近くじっくり熟成させているそうで、その深い味わいは家庭ではなかなか出せるものではないと思います。これを肴に日本酒をチビチビいけたら、他には何にもいりません!
この独特の香りや味わいが苦手という方もたまにいらっしゃいますが、かぶら寿しを食べずして北陸の食文化を語ることなかれ!一度ハマるとクセになるおいしさなので、何度もお取り寄せで楽しむ県外の方も多くいらっしゃるようです。これを石川土産に買って帰れるようになったら、かなりの北陸通といえるのではないでしょうか!基本的には冬の食べ物ですので、取扱い時期をご確認のうえ、ぜひ一度試していただきたい逸品です。