#能登の酒を止めるな!被災日本酒蔵共同醸造支援プロジェクトにて紹介したプロジェクト。
ついに共同醸造のお酒が形となって、2024年6月7日(金)金沢21世紀美術館にて完成お披露目会が開催されました。
2024年1月に発生した能登半島地震を受けて、応援購入サービスMakuakeにて実施されたプロジェクトの第一弾の完了を迎え、会場にはプロジェクトに参加した能登の5蔵と共同醸造に協力した全国9つの酒蔵が集結!第一弾でのエピソードやお酒に込めた想いなどを聞くことができました。
いしカバくんも応援サポーターとして会場入り!
発表会スタート!
1月に発生した能登半島地震で、能登は非常に大きな被害を受けました。今もなお復旧の真っ最中です。能登にある酒蔵11蔵もすべて被災し、9蔵が全壊・2蔵が半壊と甚大な被害となりました。
吉田社長自身も、酒造りの最中に大きな揺れを感じたそう。ニュースを見た時に目に映る信じられない光景。その光景に「何かしなければ」と強く感じ、能登を支えるプロジェクトのスタートにつながったと言います。
プロジェクトの目的は3つあります。
①能登の酒の味を守ること
②流通を止めないこと
③経営再建のための資金作り
向こう数年の酒造りが難しい状況の中で、酒造りを続ける未来に向けて、このプロジェクトをスタートしました。
第一弾では能登地域の酒蔵から5蔵が参加を表明し、協力蔵は清酒蔵やクラフト酒の蔵元などから全国19蔵が手を挙げてくださいました。
「ただ一緒に酒造りを行うのではなく、能登の蔵元さんには技術交流を通して、設備やサイズ感などの参考にもしてほしい」と今後再建する際のヒントになる体験ができるのではと語ります。まさに、酒造りの未来を見据えたものですね。
第一弾は2,000人以上から4,000万円を超える支援があり、これらを元に第二弾、第三弾の酒造りや蔵の再建に活用してもらうのだとか。
「大きなご支援をいただきましたが、実際全体としてはまだ資金は足りない状態です。我々が目指す、能登の酒蔵が再建するまでは、数千万、数億という金額が必要であり、今後もこのプロジェクトを継続して行いたいと思っています」と、第五弾まで継続するプロジェクトの未来についても話します。
震災から5か月が経過した今も、能登地域の復興はあまり進んでいない状況です。
「プロジェクトをはじめ、今後も支援の輪を広げながら能登の酒が早く復活する日を目指して進めていきたい」と、今後の強い決意を表明されていました。
能登の酒蔵×協力酒蔵
能登の酒蔵と協力蔵のマッチングについては、吉田社長と共にプロジェクトの中心を担うカワナアキさん(camo株式会社代表)と進めたのだとか。
「全国の酒蔵情報をお持ちのカワナさんと、能登の酒蔵について知っている私でマッチングを考えました。能登の蔵元に、どんな技術を学びたいのか、どんな味わいの酒を造っていきたいのかなど、各蔵元の希望を聞き取って、協力蔵さんとのマッチングを決めました」
それぞれ、再建後のイメージを大切にしながらマッチングを考えられたとのことで、各蔵元さんの目指す味わいもイメージできますね。
●「大江山」松波酒造(能登町)×「シン・ツチダ」土田酒造(群馬県)
「発災直後は、仕込みの真っ最中でした。命からがら逃げることしかできなかった。毎日生き残ることしか考えられず、酒蔵について考えられないときに、吉田さんからお声がけいただいて。漁師町で育った旨みある辛口のお酒を、少しでも残していければと思いました。土田酒造さんのある場所は、すごくいい風が吹いている。本当においしいお酒が誕生しました。日本のいろいろな場所で酒造りができることは実感できたし、お酒を届けていけるのはうれしい。」(松波酒造/金七聖子さん)
「一番強く意識したのが『自分は大江山の杜氏だ』ということ。土田ではない、大江山をつくるという意識でできた酒。金七さんが目指す漁師町の風を感じる酒になったと思います。」(土田酒造/星野元希さん)
●「谷泉」鶴野酒造店(能登町)×「福海」福田酒造(長崎県)
「地震で酒蔵と店舗、住居すべてが全壊となり、もう酒造りはできないと絶望しました。今回福田酒造さんと一緒に共同醸造させていただくことになり、実際に蔵に入り、現場も見られる。こんなすばらしい技術交流の機会はないなと思いました。初めて行く蔵に緊張しましたが、福田酒造のご家族のみなさんがとても温かかった。2つの味わいをぜひお楽しみに。」(鶴野酒造/鶴野晋太郎さん)
「福田酒造は目の前に海が広がる漁師町にある酒蔵。鶴野酒造も漁師町にある蔵で、同じ環境の中で酒造りをしていた。私たちがつくったお酒を呑んで、地元のことや地元の海について思いながら味わっていただければと思います。」(福田酒造/福田竜也さん)
●「竹葉」数馬酒造(能登町)×「手取川」「吉田蔵u」吉田酒造店(石川県)
「地震では6つある建物のうち4つが壊れてしまい、立て直さなければいけない状況。『能登を醸す』の経営理念のもと、能登のものを使い酒造りを進めてきたので、我々の酒を止めるということは能登のお米・農業も止めることにつながります。吉田酒造店さんは、今回使った石川県独自の酒米・石川門は作り慣れたものなので安心してお任せできました。」(数馬酒造/数馬嘉一郎さん)
「オリジナルは数馬酒造の栗間醸造責任者と毎日やり取りをしました。発酵状況やもろみの分析など、私たちもすごく勉強になりました。コラボの方は能登の石川門で作っています。どんなお酒ができるかわくわくしながら取り組みました。ぜひ呑み比べてみてください。」(吉田酒造店/吉田泰之さん)
●「おれの酒」日吉酒造店(輪島市)×「夜の帝王」藤井酒造(広島県)
「うちは輪島の朝市の近くにあるので、地震の際は火事で燃えるのも覚悟しました。幸いなことに延焼は免れましたが、酒造りは数年できないと覚悟した中での話でした。私は経験の浅い杜氏なので、他の酒蔵さんの技術を見て、再建の参考にできればと思いました。実際に蔵での作業にも参加して、数日だけですが本当にためになりました。」(日吉酒造店/日吉智さん)
「私たちは2018年、2021年と西日本豪雨の際に被害を受けており、多くの酒蔵さんや地域の方に支えていただき今があります。古い町並みがあり、海沿いでもあることから食文化でも非常に似ていて。輪島の食文化に根ざしたお酒を絶対に造っていかなければ。「おれの酒」を再現したいと思いました。」(藤井酒造/藤井義大さん)
●「奥能登の白菊」白藤酒造店(輪島市)×「永平寺白龍」𠮷田酒造(福井県)
「被災を免れた酒米があり、なんとかしてお酒にしたいという気持ちで𠮷田酒造さんとコラボさせていただきました。𠮷田酒造さんの新しい蔵で仕込み、糀をつくり…と作業をする中で、一つ一つ当たり前にできていたことが今できるという嬉しさや、道具を洗ったり掃除一つをとっても、本当に幸せを感じました。金沢酵母を使ったオリジナルと、福井酵母を使ったコラボ。その味の違いを楽しんでください。」(白藤酒造店/白藤喜一さん)
「被災を免れたお酒を、杜氏である妹と呑んだとき、本当に『うまぁ~』と心の底から思いました。お米の豊かな旨みと奥行きと、食事に合うような味わい深さを感じられて。残さなければいけないと思いました。今回のお酒は軽やかで爽快で、希望が感じられるお酒。本当にできてよかったです。」(𠮷田酒造/𠮷田祥子さん)
能登の5蔵と協力蔵の5蔵。みなさんの話を聞くと、みなさんがいかに真摯に酒造りに取り組まれて、真剣に酒造りの未来を考えられているのかがとてもよく伝わりました。
前半戦はここまで。
▶続きは「【#能登の酒を止めるな!】第一弾のお酒の味わいは?そして第二弾が始動!」