石川県であんころ餅といえば「圓八」さんではないでしょうか? 金沢駅や小松空港、県内デパートはもちろんのこと、県内ならスーパーでも買えてしまう圓八のあんころ餅。本物の竹皮に包まれたあんころ餅は自然な甘さで、一気に食べられます。もっちもちでおいしいんですよねー。
白山市にある「圓八 本店」に行けば、あんころ餅だけでなく、季節の和菓子も並んでいます。これがまた実においしい……! 今回は、毎年必ず買いに行ってしまう圓八さんのさくら餅をご紹介します。
創業280年を超える老舗、圓八さんのあんころ餅は神がかっている!?
あんころ餅のレシピは、妻子を残して行方不明になった村山家のご当主が、夢枕に立って伝えてくれたものだそうです。ご当主は鞍馬山で天狗の弟子になったとかで、売れるあんころ餅も神通力からひらめいたんでしょうか。故・市原悦子さんの語り口で聞きたいような昔話です。
だから圓八さんのロゴは芭蕉扇なんですね。店頭にもかわいい天狗のお面が置かれていたりします。
道明寺、長命寺。両方おいしいさくら餅!
さくら餅には、関東風の「長命寺(ちょうめいじ)」、関西風の「道明寺(どうみょうじ)」の2種類があります。しかし、関東風のさくら餅が店頭で「長命寺」と表記されていることはほとんどありません。長命寺の名前は大体が「さくら餅」です。関西風の方が「道明寺」または「道明寺さくら餅」となります。
私が学生だった頃、石川県では長命寺のさくら餅が一般的だった気がします。方言や食文化など、どちらかといえば関西圏に近い感じがする石川県ですが、さくら餅は関東風というのがちょっと不思議ですね。今では、いろんなお店が道明寺を作ってくれるようになり、どちらも楽しめるようになりました。圓八さんも両方作ってくれていて、お好きな方を選んでいただけます。選べるってしあわせ!
そういえば六星産業さんの桜餅は、ぜんぶ道明寺でした。
道明寺と長命寺の区別はさておき、どちらもおいしいんですよー。道明寺には桜餡が入っていて、内側からほんのり桜色なのです。ちょこんと載せられている桜の花も、ほわっと桜色なのも、まさにあいそらしいー! ちょっと小ぶりのサイズ感も、あいそらしさを加速します。
長命寺はスタンダードなこしあんで、しっとりした桜色の皮がベストマッチです。これぞさくら餅。圓八さんのこしあんは本当にきめ細やかで、ふわっと香ばしい味がします。おいしい。
なお、普通のさくら餅(長命寺)は普通に買えますが、道明寺のさくら餅は数が少ないので、確実に欲しい方は前日に予約されることをお勧めします。圓八さんは開店が早いからか、売り切れも大変早いのです。なんと、9時で売り切れていたことがありました……。
最後はこちらもド定番、花見団子です。もっちもちでおいしいー! ほんのり桜の香りがするお餅と、草餅の組み合わせが春らしい。早く春が来ないかな!
そういえば、圓八さんのさくら餅の販売期間は「桜が散るまで」なんですよ。なんか、いいいですよね。日付で区切るのではなく、花鳥風月のうつろいに合わせた和菓子。時間に追われる生活をちょっと離れて、おいしいお茶と一緒に春の和菓子を楽しむのはいかがでしょうか。